【吹奏楽】「エルザの大聖堂への行列」レンタル開始

歌劇「ローエングリン」第2幕より

エルザの大聖堂への行列(R.ワーグナー/伊藤康英 編曲)

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 R.Wagner(1813〜1883)のオペラ「ローエングリン」(1850)第2幕第4場で、王女エルザが、騎士ローエングリンとの結婚式のために、大聖堂へと向かう際に奏でられる音楽である。

 F.Liszt(1811〜1886)が1852年にピアノ独奏編曲を作っており、「Elsas Brautzug zum Münster」(S.445/2)と題された。

 1938年には、Lucien Cailliet(1891〜1984)が吹奏楽編曲を行っており、オーケストラでは単独で演奏されることがないこの曲が、吹奏楽でこよなく愛されるきっかけとなった。

 そもそも、原曲の冒頭部分が管楽器のみのアンサンブルで成り立っており、F.Fennell(1914〜2004)は、このようなオーケストラ曲での管楽器の扱い方を研究して「ウィンド・アンサンブル」を創設したということから、吹奏楽で取り上げるのに意義深い作品と言えよう。

 

 この編曲では、通常知られるフルートの独奏部分より8小節前から開始する(ここも管楽器のみの演奏。ただし、ハープによるアルペッジョは、グロッケンとヴィブラフォーンとに置き換えた)。

 第40小節までは、原曲と同じオーケストレイション。また、スコア冒頭に太字で書かれた楽器は、ほぼ一貫して原曲の管楽器パートと同じである。

 斜体字で書かれた楽器は、合唱パートを受け持っている。コルネットがソプラノ、フリューゲルホルンがアルト、そして、8声2群に分かれた男声合唱が、バリトンとユーフォニアムである。(これらをほかの楽器に置き換えることが可能。また、実際に合唱を入れての演奏も可能である)。

 第87小節から第99小節までは、私自身による創作。原曲のオペラではエルザの結婚相手である騎士の名を訊ねてはならぬ、ということへの不安を煽るシーンが繰り広げられ、それを思わせる音楽となっている。なお第87小節冒頭部分のベース・ラインは、原曲に同じ。

 第100小節からは、原曲の第2幕第4場の最後の部分に同じ。原曲ではハ長調で書かれているが、ここでは変ホ長調に移調した。バンダとして登場するトランペット10本も原曲と同じ。ライトモティーフの一つである白鳥のモティーフ(第106小節)が高らかに奏でられる。

 

 この編曲は、2015年6月24日、洗足学園音楽大学グリーン・タイ ウィンド・アンサンブル(指揮:藤岡幸夫)による初演された。