2016年

8月

17日

【吹奏楽】ヤイサマ・リムセ -舞踏即興曲

ヤイサマ・リムセ ー舞踏即興曲

 

航空自衛隊北部航空音楽隊(三沢)委嘱作品。
2016年2月作曲。
2016年3月13日初演。

演奏時間:約7分30秒

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 アイヌの民謡を使って、26年前にユーフォニアムと吹奏楽のために、『幻想的変奏曲』という作品を書いた。このたびの委嘱を受け、このときに使ったメロディーをもう一度使ってみようと思い立った。ずいぶんと時が経っているので、自分自身の作曲技法がどのくらい変わったのか興味があったのだ。加えて、日本の北国を管轄する北部航空音楽隊からの依頼、ということもある。北の国からのメロディーを使いたかった。  これまでにも北国のメロディーを素材としていろいろと曲を書いてきた。青森の民謡や、北海道の「ソーラン節」など。しかしここでアイヌ民謡を使うことは、人種の問題などをのりこえて世界のみんなが仲良くするという意味で、大切なことだとも思えた。
 さて、ユーフォニアム作品のときに用いた資料を探してみたのだが、インターネットも発達してきた現在ながら、どうしたわけか見つからない。けれど、そのメロディーをもとに、全く新しい作品を書き始めた。
「ヤイサマ」とは「即興歌」(あるいは愛の歌)の意、「リムセ」とは「輪舞」の意。そこで、舞踏即興曲と題した。
 どんな素材を使ったとしても、私は西洋音楽の作曲技法の中に当てはめる。世界のさまざまな民謡を扱い、民族音楽ふうの相を呈するも、根源にはモティーフを展開させるという西洋音楽の方法を採る。
 そうしてでき上がった今回の作品は、人びとの生き生きとした踊りの躍動感を歌い上げる。また、この美しいメロディーを高らかに平和への希求のモティーフとして歌い上げる。
 そして、さて、26年の時を経て自分の音楽はどのくらい変化したのだろうか。実は、根本的には何も変わっていないことに気がついた。ただ一つ変わったことといえば、人種をこえて、民族をこえて、地域をこえて、国籍をこえて、平和を祈る気持ちがより増してきたこと。ただそれだけである。

(伊藤康英)