吹奏楽作品

オリジナル作品(2001年~1978年作曲)

マーチ《世紀をこえて》

Title:March 'Over the Century'

作曲年月日:2001年 9月 3日
編成:Pcc. Fl. Ob. Bn. Cl. Sax. Hrn. Trp. Trb. Euph. Tub. Cb. Timp. Perc.
演奏時間:6:00(約)

初演データ (初演日)2001年12月17日
(初演者)千葉県立木更津高等学校吹奏楽部
(初演場所)千葉県立木更津高等学校100周年記念式典(木更津市民会館)
委嘱者 千葉県立木更津高等学校吹奏楽部
備考 千葉県立木更津高等学校100周年記念行進曲
行進曲《三岳山》

Title:March 'The Three Tops Hill'

作曲年月日:2001年 3月 1日
編成:Picc. Fl. Bn. Cl. Sax. Hrn. Trp. Trb. Euph. Tub. Timp. Perc.
演奏時間:3:30(約)

初演データ (初演日)2001年11月16日
(初演者)静岡県立引佐高校吹奏楽団
委嘱者 静岡県立引佐高校吹奏楽団
備考 静岡県立引佐高校創立100周年記念式典にて初演。 静岡県立引佐高校創立100周年記念曲。 同校の校歌を使用
吹奏楽のための序曲《平和と栄光》

Title:Pacem et gloriam pro nobis, Overture for Band

作曲年月日:2001年 01月 30日
編成:Picc. Fl.1,2 Ob.1,2 Bn. EbCl. Cl1,2,3 AltoCl BassCl ContraltoCl. ContrabassCl. ASax.1,2 TSax. BSax. Hrn.1,2,3,4 Trp.1,2,3 Trb.1,2,3 Euph. Tub. Cb. Hp. C-chor. Tim.p. Perc. BANDA1(Trp1,2,3 Trb1,2,3) BANDA2(Trp1,2,3 Snare. Tom.) BANDA3(Trp1,2,3 Snare. Tom.) BANDA4(Trp1,2,3 Trb1,2,3)
演奏時間:7:00(約)

プログラムノート  創価グロリア吹奏楽団の委嘱により2001年1月に作曲。昨年3月の演奏会を聴いて、大人数のバンダを含む大編成バンドに感銘を受け、そういう派手な曲を書いてみようかなあと思ったのである。そして、「21世紀の幕開けにふさわしい」作品を、と依頼された。

 ふと20世紀を振り返ると、必ずしもハッピーなことばかりではなかった。だから今こそは平和を希いたいものだ、と、そう考えた私は、カタロニア民謡の《鳥の歌》を作品のあちらこちらにちりばめた。それこそが21世紀の幕開けにふさわしい。結局、祈りと祝典の音楽、とでもいえる音楽になった。ちなみに訳題はラテン語で、「我らに平和と栄光を」とでもいった意味合いとなっている。
(伊藤康英)
初演データ (初演日)2001年02月18日
(初演者)創価グロリア吹奏楽団・創価学会富士少年希望少女合唱団 指揮:佐川聖二
(初演場所)創価グロリア吹奏楽団第15回定期演奏会
委嘱者 創価グロリア吹奏楽団
CDタイトル:ARIA
レーベル・CD番号:CAFUA RECORDS (CACG0069)
CD備考:
交響的断章《時の逝く》

Title:As Time is passing on, Symphonic Movement for Band

作曲年月日:2000年 07月 08日
編成:Org.. Acc. Baritone. Band

プログラムノート  交響詩《時の逝く》は、2000年5月に作曲。7月8日に佐川聖二氏の指揮によりみなとみらいホールにて初演されました。その後、委嘱者であるグラールウィンドオーケストラが、吹奏楽コンクールで演奏するために「交響的断章」という別版を作りました。この2つの版の違いについて、書き記しておきます。
 まず、各部の構成についてもう少し詳しく書いておきます。
 第1部「ラメント(Lamento)」は、合唱曲として書いた『時の逝く』の最後の和音に続く音楽として最弱奏の音から開始しました。途中に「時の逝く」と歌われるコラールふうの動機が象徴的に現れます。
 第2部「行進曲」は、「時の逝く」の動機による音楽。リストの交響詩『前奏曲』の標題を思わせる音楽として計画 しました。
  続く第3部「怒りの日(Dies Irae)」は、通常のレクイエム中に聞かれる「怒りの日」の歌詞を一節だけ歌わせることによって開始しますが、この部分はすべて「怒りの日」の8節からなるラテン語の歌詞をすべてメロディに乗せることができます。
  第4部「時の逝く」で、吹奏楽のメンバーに混声四部合唱を歌わせています。グラールは100人近くもの団員がいるため、彼らに合唱を歌わせたら、それも、みなとみらいの素晴らしい音響のホールでだったら、さぞかし効果的だろうとの計算もありました。合唱部分をパイプオルガンに置き換えるためのオプションの楽譜も作りましたが、実際には、オルガンをごく薄く合唱にかぶせて演奏しました。
  この合唱に続けて、嬰ハ長調の主和音が最弱奏で鳴り響く中、全曲の幕となりますが、それは同時に、この曲の冒頭を示唆するものでもあります。ですから、この作品は始めもなく終わりもない、といった、循環(輪廻?)する音楽ともいえます。
  さて、この15分の単一楽章の作品を5分強に縮め、「交響的断章」を、次の考えに基づいて作りました。
  まずは、グラールや佐川先生が好んでいる部分を大きく取り上げる。・・・というわけで、第2部をメインに持っていくことになりました。
  コンクールなのだから、とにかく派手に終わりたい。(私はそういう考えには賛成しかねる部分もあるのですが、そういうふうに依頼されてしまったのだから仕方がない)。ということは、あまりにゆっくりのテンポである第1部で開始すると、たった5分強では、大きなクライマックスまで到達し得ない。そこで、途中から始めることを考えました。第3部から始めるのです。そして、第4部を省略(コンクールで混声四部合唱まで歌わせる必要はないだろう)、短いコラールの動機を挟んで第1部へ、それから第2部へ、といった流れの後にコーダを付けた、というわけです。

  この作品が、循環する音楽であることを考えると、こういった演奏順も可能であると思うのです。また、演奏する方々の音楽の構成感がしっかりしていさえすれば、第3部や第1部などの部分を拡大することもできるでしょう。ただし、この「交響的断章」版では、第4部はまったく省略しています。今後演奏される方も、この版(このタイトル)で演奏する際には、合唱は用いないでください。これは詩の著作権の問題にもなりますので。つまり、交響詩《時の逝く》はテキスト付の音楽としてJASRACに登録しますが、交響的断章《時の逝く》は、純粋な器楽曲として全く別曲として登録するからです。

  以上、2つの版について、混乱しないように、一言書き記しました。(伊藤康英)
初演データ (初演日)2000年08月01日
(初演者)グラールウィンドオーケストラ 指揮:佐川聖二
委嘱者 グラールウィンドオーケストラ
交響詩《時の逝く》

Title:As Time is passing on, Symphonic Poem for Band

作詞者:林望
作曲年月日:2000年 05月 25日
編成:2or3Fl. Picc. 2Ob. 3Bas. EbCl. 3BbCl. AltoCl. BassCl. Sop.Sax. 2Alt.Sax. Ten.Sax. Bar.Sax. 4Hrn. 3Cornette. 3Trp. 2Trb. BassTrb. Euph. Tub. Cb. Timp. Perc. Mix-chor(sung by players)
演奏時間:15:00(約)

プログラムノート   グラ-ル・ウィンド・オーケストラの10周年記念曲として作曲。しかし出来上がった作品は、むしろレクイエムに近い。そういえば、ブリテンは、日本の紀元2600年のために『鎮魂交響曲』を作曲し、そのタイトルが日本政府の顰蹙を買ったことがあった。だから私のこの作品も、記念曲にふさわしくないぞ、といわれるかもしれない。
が、それにはこんな経緯がある。
「指揮の佐川先生が泣けるようなメロディを」なんてことが、委嘱の条件に書いてあったりしたのだ(ちなみにこれを書いたのは、バンドの中で打楽器を担当しているMさんで、ぼくの高校の後輩にあたる)で、それならば、ワーグナーふうのたっぷりとした息の長い音楽を書いてみようと思った。あれやこれやとメロディを捜し求めていると、ふと、かねて作曲した『時の逝く』という未発表の無伴奏合唱曲のことが気にかかりだした。そこで、このモティーフをずっと念頭におきつつ作曲を進めていった。ところが今度はこの合唱曲そのものを引用してみたくなってきたのだった。
『時の逝く』という詩は、林望氏の手になるもので『鎮魂十二頌』というレクイエムの冒頭の詩。数年前に受け取ってこの合唱曲を書いたのみで、ずっとそのままになっていた。レクイエムとは鎮魂もしくは魂の救いを描いたもので、この詩自体は、決して悲しみにくれているばかりではなく、その口調はむしろ明るい。暖かい。
結局、この混声四部合唱曲をほぼそのままの形で引用することとした。
その詩をここに引いておく。
 
      朝に 頬染めた 光は
      たちまち 昏れて 夕べに 
      時の逝く そのはやさ
      そのしのびやかさに
      驚いている
      わたしがいる

    生きてあること
       思えば すべては
       一度っきりのことだったよ
    
       春べに 萌えそめた 緑は
       たちまち 夏の 木立に
       時の逝く そのはやさ
       そのうつりかわりに
       たじろいでいる
       わたしがいる
  
     生きてきたこと
       思えば すべては
       一度っきりのことだったよ

  この作品を書いたことで、自分の中の二つの仕事―吹奏楽と声楽―につながりが見えてきたような気がして大変に嬉しい。
曲は単一楽章で4部からなり、それぞれ「ラメント」「行進曲」「怒りの日(Dies Irae)」「時の逝く」と題されている15分強の作品。
本日の初演がうまくいきますように。(初演プログラム/伊藤康英)
初演データ (初演日)2000年07月08日
(初演者)グラールウィンドオーケストラ 指揮:佐川聖二
(初演場所)みなとみらいホール
委嘱者 グラールウィンドオーケストラ
備考 鎮魂十二頌(詩:林望)より第1頌『時の逝く』を引用。合唱(吹奏楽団がこれを兼ねる)を要する。交響詩版と交響的断章版の違い、並びに作品の構成については、交響的断章『時の逝く』を参照。
CDタイトル:交響詩「時の逝く」 伊藤康英吹奏楽作品集
レーベル・CD番号:CAFUA RECORDS(CACG0015)
CD備考:
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吹奏楽のための交響詩《ゴー・フォー・ブローク》

Title:Go For Broke, Symphonic Poem for Band

作曲年月日:2000年 03月 01日
編成:Picc. 2Fl. 2Ob. Bn. 3BbCl. BassCl. ConBassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. Corn. Trp. Trb. BassTrb. Euph. 2Tub. Timp. Perc.使用打楽器 TImp. 3Toms. S.D. B.D. Triangle. Sus.cym. Cymbals. Tam. Xylophone. Marimba. Vibraphone. Gl. Ratchet. Cym.Antiqe. Tamb.
演奏時間:6:30(約)

出版社:イトーミュージック/ブレーン
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プログラムノート ミリラニ高校吹奏楽団(ハワイ)委嘱。2000年3月1日、同高校吹奏楽団の演奏、作曲者の指揮にて、静岡県浜松市での「パン・パシフィック・吹奏楽フェスティヴァル」にて初演。日系人による100大隊(第100歩兵大隊/100th Battalion)と442部隊(第442連隊戦闘団/442nd Infantry Regiment)に捧げられた。
 1941年12月7日(現地時間)の日本軍によるハワイ真珠湾奇襲ののち、日系人たちは犯罪者扱いされ、全ての財産を没収、強制収容所へ連行された。差別と弾圧に苦しんだ。そんな中、日系二世たちがアメリカこそが自分たちの祖国、今こそアメリカに忠誠を見せるときだ、と立ち上がり、進んで軍隊に志願した。そして、アメリカ兵としてヨーロッパ最前線での活躍は、今も日系人の誇りとなっている。
 アメリカ国籍をもつアメリカ人として、しかし自らの根底に日本の血を持ちながら戦った彼らの心境はいかばかりだったろうか。
 このことを、ごく短い交響詩に描いた。タイトルは、この部隊でのモットーが「Go For Broke(ゴー・フォー・ブローク=「当たって砕けろ」「死力を尽くせ」)」だったことに因む。
 なお、この史実について、「100 442」と検索するだけでインターネット上にも数多く見つけられる。戦争の真実、取り分け人種問題を考えるよい機会ともなろう。
(伊藤康英)
初演データ (初演日)2000年03月25日
(初演者)Mililani High School Band(ハワイ) 指揮:伊藤康英
委嘱者 ミリラニ高校吹奏楽団(ハワイ)
ピアノと吹奏楽のための《琉球幻想曲》

Title:Ryukuan Fantasy, for Piano and Band

作曲年月日:1999年 03月 03日
編成:SoloPf. Picc. 2Fl. Ob. EbCl. BbCl. BassCl. SSax. 2ASax TSax BarSax. 3Hrn. 2Trp. 3Trb. Euph.. Tub.. St.Bass. Timp. Perc.使用打楽器 Timp. Cowbell.Tamb. Wind.Chime. Wood Block. Castagnettes. S.D. 2Sus Cym(same size). B.D. Glockenspiel. Xylophone. Triangle. Vibra-slap. Cabasa.
演奏時間:5:00(約)

出版社:イトーミュージック / ブレーン
楽譜備考: 
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プログラムノート  ピアノのアンサンブルというものは、時に打楽器的な色彩を持ち合わせるが、この、NTT東日本東京吹奏楽団の依頼で作った「ピアノと吹奏楽」版もまた、そうした色彩をうまく表すことができたなあ、と自分でも気に入っている。
初演データ (初演日)1999年05月14日
(初演者)伊藤康英(pf)・NTT東日本東京吹奏楽団 指揮:山田昌弘(日本初演)。伊藤康英(pf&指揮)・天方吹奏楽団(アメリカ初演)
委嘱者 NTT東京吹奏楽団
備考 NTT東日本東京吹奏楽団の委嘱により作曲。「<ref id=38>琉球幻想曲</ref>」(吹奏楽版)をも参照。 原曲は2台ピアノ8手連弾。他に、2台ピアノ版、1台ピアノ版、ヴァイオリンとピアノ版、ピアノ独奏版、ソプラノ・サクソフォーンとピアノ版、ピアノ七重奏版、(弦5部、打楽器、ピアノ)、ピアノ六重奏版(弦5部、ピアノ)、ヴァイオリンとサクソフォーン四重奏とピアノ版(ヴァイオリンはオプション)、サクソフォーン四重奏版あり。
CDタイトル:交響詩「時の逝く」 伊藤康英吹奏楽作品集
レーベル・CD番号:CAFUA RECORDS(CACG0015)
CD備考:
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CDタイトル:忠臣蔵異聞
レーベル・CD番号:CACG-0106
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こきりこ行進曲

Title:Kokiriko alla Marcia

作曲年月日:1999年 02月 06日
編成:Picc. 2Fl. Chrs. Ob. EbCl. 3BbCl. BassCl. SSax. 2ASax.TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. 2Euph. 2Tub. Timp. Perc. (Ob.) (Bn.)使用打楽器 Timp. Kokiriko. Bozasara. Sasara. Xylophone. Vibraphone. Glockenspiel. S.D. B.D. Cymbals. Triangle. Tom-Tom. Claves. Vibraslap. Tambourine.
演奏時間:4:30(約)

出版社:Rundel
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初演データ (初演日)2000年
委嘱者 富山県
備考 富山県2000年国体局委嘱。2000年富山国体入場行進曲。曲中に富山民謡『こきりこ』を使った作品。オプションで合唱を入れることができる。また、こきりこ、ささら、棒ざさらなども使用。なお、この作品の短縮版(約2分)の、序曲〈こきりこ〉もある。サクソフォーンとピアノ版、サクソフォーンとマリンバとピアノ版、ピアノ連弾版、ピアノ三重奏版,マリンバ六重奏版などの編曲がある。
交響三頌《ラ・ヴィータ》

副題:1. ラ・シンフォニア 2. ポエータ 3. ラ・ヴィータ
Title:La Vita, Symphony in 3 Scenes
Subtitle:1. La Sinfonia 2. Una Poeta  3. La Vita

作曲年月日:1998年 09月 06日
編成:2Fl. Picc(3rd.Fl).. 2Ob(Ehrn). 2Bn. Eb Cl. 3Bb Cl. Eb Alt.Cl. Bb Bass.Cl. Contralto Cl. S.Sax. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph.(div.) Tub.(div.) St.Bass. Timp. 6Perc.Percussion Instruments: S.D. B.D. 3Toms Cymb. 2Sus.Cym. Tam-Tam 2Tri. Tamb. Ratchet Wind Chim. Tree chim. Antique Cymb. Glock. Xylo. Vib. Mba. chim. Bongos Temple Blocks Chanchiki
演奏時間:18:00(約)

出版社:
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プログラムノート  この数年間、歌を作曲していた。日本語の美しさを意識してきた。それが吹奏楽の作曲に生かせないものだろうか。いま目指しつつあるオペラ(あるいはミュージカルのような劇音楽)の作曲と融合出来ないのか。考えてみれば、古今東西の大方の人たちが楽しんできた音楽といえば、言うまでもなく「歌」だ。西洋音楽というジャンルも、確かにオペラを頂点としている。しかし一方で、言葉を持たない音楽の発展の仕方も大きかった。その頂点に「交響曲」が君臨していた。だが一体、今、「交響曲」とは何だろうか。いや「コウキョウキョク」というより、むしろ「シンフォニー」というものについてもう一度考えてみようか。そしてまた、いわゆる「現代音楽」とは何だったか。ポピュラリティーのある音楽とシリアスな音楽との境界線は何か。吹奏楽と管弦楽との違いは何だろう。たくさんの人数で音楽を奏でる、というのはどういうことだろう(たとえば「カッコイイ」ということも重要な要素であることを否定してはならない)。 そんなことを考えつつ筆を進めた。
第1楽章〈ラ・シンフォニア〉。「シンフォニア」というイタリア語は、現在ではたとえば「交響的な小品」とか、組曲などの冒頭に位置する序曲を指す。だが、このシンフォニアこそが英語でいう「シンフォニー」の語源である。それに冠詞を付すことで「シンフォニーというもの」の意を持たせた。
第2楽章〈ポエータ〉は「詩人」の意。大手拓次の詩による自作の歌曲《ふりつづく思ひ》を引用。
第3楽章そして表題となっている〈ラ・ヴィータ〉とは「生命(あるいは命、人生)というもの」の意のイタリア語。ここからは、ラテン系の屈託のない明るさが感じられるが、一方でどん底の救いのない人生をも意味する。英語の“life”とはだいぶニュアンスが異なるような気がする。アルチュール・ランボーが言うとおり、「人生は祭り」と言うわけか。
先日、湯布院のとある画家の別荘を訪れたところ、屏風絵に「人生交響曲」と大書してあった。私の曲は、なるほど、訳してみればこうなるかもしれない。(伊藤康英)
初演データ (初演日)1998年10月18日
(初演者)大分県高校選抜バンド 指揮:伊藤康英
委嘱者 国民文化祭・おおいた98
備考 「ラ・シンフォニア(La Sinfonia)」「ポエータ(Una Poeta)」「ラ・ヴィータ(La Vita)」の三楽章から成る。第2楽章には大手拓次の詩による自作の歌曲《ふりつづく思ひ》を引用。
CDタイトル:「ぐるりよざ」伊藤康英作品集
レーベル・CD番号:ブレーン / BOCD-7402
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吹奏楽のための祝祭曲《集え、祝え、歌え》

Title:Festeggiamo e Cantiamo, Musica Festiva per Banda

作曲年月日:1998年 07月 07日
編成:Picc. 2Fl. 2Ob. 2Bn. EbCl. 3BbCl. AltoCl. BassCl. SSax. ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph. Tub. St.Bass. Tim.p. Perc.使用打楽器 Timp. B.D. Tam. Gloken. Triangle. Cymbals. S.D. Xylophone. Sus.Cym. 2Toms. Vibraphone. Tamb. Hi-hat.
演奏時間:9:30(約)

 
プログラムノート 1998年に富山県吹奏楽連盟40周年を記念して作曲、7月25日に初演された。吹奏楽連盟の生誕の記念であるということと、私事ながら私の次男がその年の6月に誕生した、ということがあり、作品は誕生に関する祝祭の音楽となっている。つまり、主部はキリスト生誕を記念する賛美歌『神の御子は』による変奏、中間部は私が作詞作曲した歌『たんじょうびおめでとう』のメロディに拠っている。(2005年12月シンフォニック・ブラスカペレ演奏会プログラムノート/伊藤康英)
初演データ (初演日)1998年07月25日
(初演者)富山女子高校吹奏楽部 指揮:伊藤康英
委嘱者 富山県学校吹奏楽連盟
備考 2台のチェロとピアノのための『賛美歌変奏曲111』と、自作の歌《たんじょうび おめでとう》を引用。オプションで合唱を加えることができる。
CDタイトル:伊藤康英 2007 ~伊藤康英吹奏楽作品集
レーベル・CD番号:イトーミュージック/IMCD0707
CD備考:
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舞子スプリングマーチ

Title:Maiko Spring March

作曲年月日:1998年 02月 04日
編成:Picc. 2Fl. Ob. Bn. EbCl. 3BbCl. AltoCl. BassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph. Tub. St.Bass. Timp. Perc.
演奏時間:4:00(約)

プログラムノート  筑波大学吹奏楽団は、毎年3月から4月にかけて、新潟県南魚沼郡にある筑波大学石内研修所(旧東京教育大学北辰学寮)で合宿練習を行っている。そこで、数年前より地元の魚沼吹奏楽団との交流会が催されていたが、この度、両団の友好を記念してマーチを制定することが発案された。
両団よりマーチのメロディを公募したところ、50近くの作品が集まった。そして、3人のメロディが選出され、それをもとに筑波大学吹奏楽団を長年指導している伊藤康英が作曲した。
   篠崎明子(筑波大学吹奏楽団)・・・主部
 若井文康(魚沼吹奏楽団) ・・・トリオ
 藤麻衣子(魚沼吹奏楽団) ・・・トリオ間奏部
ついでこれに題名を公募。約20の題名より<舞子スプリングマーチ>と決定した。これは魚沼吹奏楽団の大塚隆知と、筑波大学石内研修所の大内春江さんのアイデアによるものである。
さらに、このマーチのイメージ・ポエムを募集。10以上の作品が集まったが、筑波大学吹奏楽団98年度団長の高野浩志と同副団長の宮本雅美の作品をもとに伊藤康英が補作、さらに両団の検討を経て決定された。
<舞子スプリングマーチ>は、1998年3月29日、魚沼吹奏楽団・筑波大学吹奏楽団ぼ合同演奏、伊藤康英の指揮により、小出郷文化会館で行われた「小出郷吹奏楽フェスティバル'98」にて初演。ライブレコーディングにより、シングルCDが制作される。(小出郷吹奏楽フェスティバル'98プログラム)
初演データ (初演日)1998年03月29日
(初演者)魚沼吹奏楽団&・波大学吹奏楽団合同バンド 指揮:伊藤康英
委嘱者 魚沼吹奏楽団・筑波大学吹奏楽団
備考 魚沼吹奏楽団・筑波大学吹奏楽団より公募したメロディ(篠崎明子・若井文康・佐藤麻衣子作曲)に基づいて作曲。
吹奏楽のための《琉球幻想曲》

Title:Ryukuan Fantasy, for Band

作曲年月日:1998年 01月 31日
編成:2Fl. Picc(3rd.Fl). 2Ob. 2Bn. EbCl. 3BbCl. AltoCl. BassCl. SSax. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Tp. 3Tb. Euph. Tub. St.Bass. Timp. Perc.  Perc 1. (2Sus.Cym. Wind.Chime. Bongos. Wood.block. Cabasa. Tamb. Tam.) Perc 2. (B.D. Congas. S.D. Guiro.) Perc 3. (Glock. Triangle. Vibra slap. Perc. 4(Xylo. S.D.) Pf.(4hands) 
演奏時間:4:30(約)

出版社:イトーミュージック / ブレーン
楽譜備考: 
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プログラムノート  沖縄民謡《安里屋ユンタ》をもとにした作品。
民謡を使って作曲するときに、私は、その民謡はあくまで素材として扱うようにしている。土地柄や風土というものには、特にこだわらない。あの有名なメロディが、さてどのような形になったか、どうぞお楽しみください。
もともとは、ピアノ2台8手連弾(……念のため書き添えておきますが、ピアノ2台を4人が弾く、ということです)のために、洋絃会の委嘱により1997年3月に作曲。ピアニスト・岩崎セツ子氏と沖縄県立芸術大学の学生が初演してくれた。その後、2台ピアノ版、1台ピアノ連弾版、ヴァイオリン版、ピアノ独奏版、ソプラノ・サクソフォーン版、ピアノ6重奏版と、さまざまな編曲を作り、加えてサクソフォーン四重奏版もつくりかけている(なんだか、かの編曲マニア、グレインジャーみたいである)。さらに原曲に手を加えつつ、個々の吹奏楽作品としてこの作品を仕上げた。(解説:伊藤康英)
初演データ (初演日)1998年04月29日
(初演者)豊島区吹奏楽団 指揮:伊藤康英
委嘱者 豊島区吹奏楽団
備考 原曲は2台ピアノ8手連弾。他に、2台ピアノ版、1台ピアノ版、ヴァイオリンとピアノ版、ピアノ独奏版、ソプラノ・サクソフォーンとピアノ版、ピアノ七重奏版、(弦5部、打楽器、ピアノ)、ピアノ六重奏版(弦5部、ピアノ)<ref id=45>ピアノと吹奏楽版</ref>、ヴァイオリンとサクソフォーン四重奏とピアノ版(ヴァイオリンはオプション)、サクソフォーン四重奏版あり。
CDタイトル:ええとこどり Vol.4
レーベル・CD番号:(有)四つ葉印 グリーン・ミュージック(YGMO-2007)
CD備考:
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『めぐる季節に』――ウィンド・アンサンブルのために

Title:"Meguru Kisetsu ni" for Wind Ensemble

作曲年月日:1996年 11月 09日
編成:Picc. 2Fl. Ob. Bn. 3BbCl. AitoCl. BassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 2Trp.(Cornets). 3Trb. Euph. Tub. St.Bass. Perc.
演奏時間:10:00(約)

プログラムノート  『めぐる季節に』は、ほんとうはちゃんと詩が付いた「歌曲集」である。言わば一種の童謡なのだが、大人の歌唱にも十分に堪える歌ができた、と私自身思っている。詩は、『イギリスはおいしい』などのエッセイで知られる林望氏の書き下ろしの詩による。それをあえて器楽曲としての吹奏楽編曲を作ったのには、次のようなわけがある。
まず、歌詞なしで聴いても、日本のメロディとして十分通用する作品ができただろう、ということ。近頃の吹奏楽作品には易しいメロディに乏しい。そのうえ、陳腐で安っぽいメロディが多すぎると思う。
さらに、吹奏楽伴奏で歌ったりあるいは合唱編曲によって吹奏楽と共に歌っても楽しいだろうと考えた。その場合大合唱+大吹奏楽団には、ちょっと相応しくないだろう。そこで、小編成のウィンド・アンサンブルへの編曲となった。あまけに全員で演奏するのはわずかに第5曲のみである。ほかは何かしらの楽器が休んでいる。そうすることによって、管楽器の音色を十分に往かせるのだ。
さて、各曲の解説は省こう。(『あんこまパン』なるCDブックにも載っていることなので、是非ともお買い求めいただくとして……、と宣伝しておく)。管楽器の奏でるメロディに何となく詩を乗せてお聴き頂くも良し、あるいは、リストの交響詩よろしく標題音楽ふうに聴いて見るもよし、あるいは、純粋に器楽曲として聴くもよし、どうぞ、いろいろな方法でお楽しみ下さい。(初演プログラム/伊藤康英)
初演データ (初演日)1997年02月27日
(初演者)航空自衛隊中部音楽隊
委嘱者 航空自衛隊中部音楽隊
備考 第1曲『春の愁い』第2曲『蝉の鳴く日は』第3曲『いちょう』第4曲『クリスマス』第5曲『淡雪』。林望氏の詩による歌曲集の吹奏楽編曲。合唱を加えることができる。
CDタイトル:吹奏楽プロムナード・コンサート4 グリーンスリーヴス・ジェラシー
レーベル・CD番号:NIPPON CROWN(CRCD2107)
CD備考:
管楽器のための《古典組曲》

副題:1.タンゴ風アルマンド 2.シャコンヌ風サラバンド 3.ハバネラ風ガヴォット 4.サパテアード風ジーグ
Title:A la Suite Classique, for Wind Ensemble
Subtitle:1.Allemande en forme de Tango 2.Sarabande en forme de Chaconne 3.Gavotte en forme de Habanera 4.Gigue en forme de Zapateado 

作曲年月日:1996年 02月 13日
編成:Fl. Picc(2nd.Fl). 3BbCl. 2ASax. TSax. 2Hrn. 2Trp. 2Trb. Euph. Tub. Timp. Perc. (Option. Ob. Bn. EbCl. AltoCl. BassCl. BarSax. 3&4Hrn. 3rdTrp. 3rdTrb. St.Bass.)使用打楽器  Perc 1. (Timp. S.D. Sus.Cym. B.D. Cast.) Prec 2. (Glock. Tamb.) Perc 3. (Marimba. Vib. Xylo. Chimes.)
演奏時間:9:00(約)

 
プログラムノート   いわゆる「古典組曲」をご存じだろうか。バッハの「フランス組曲」や、「パルティータ」などが名作として知られるが、言ってみれば「舞曲集」である。当時流行した舞曲や、もう踊られなくなったレトロな舞曲が一堂に会するものだ(さらに、全体はすべて同じ調で統一されたり、主題が似通っていることなどにより、変奏曲の一種とも解することができる)。それを現代に置き換え、あるいは新しい舞曲をを取り込み、あるいはパロディ化したものが、私の「古典組曲」である。したがって、なんだか新しくて古めかしいような作品になった。
アルマンドは16世紀から17世紀初頭にかけて踊られた、ゆるやかな2拍子系のドイツの舞曲だが、これにタンゴ風のリズムと出会わせ、第1楽章では軽快かつメロディックに歌う。縦横に流れるメロディを円滑に、そして変拍子の面白さを生かして演奏したい。
 サラバンドは17~18世紀にヨーロッパで流行した3拍子系のゆっくりとした舞曲。第2楽章では、これにシャコンヌの和声様式を合わせた。真面目に重たげに始まるが、次第にポップな趣が加わってくる、そんな演奏をしたい。
 ガヴォットは2分の2拍子の中庸のテンポで、アウフタクトを特徴とする17世紀のフランス舞曲。第3楽章では、これにハバネラ風のリズムが顔を出す。ウィンド・アンサンブルならではの薄いオーケストレイションと、不意に訪れる転調を楽しみたい。
 ジーグは16世紀イギリスで流行した活発な舞曲。第4楽章ではこれをスペインのサパテアードという速い8分の6拍子の舞曲風にした。時折現れるパロディなどを、生き生きとしたリズムの中で楽しみたい。
フランス語のタイトルでは「古典組曲ふうに」という意味になるが、「a la suite」は「次々と」とも訳される。したがって、「古典風に次々と」といったニュアンスをも持つことになろう。
なお、編成は小編成吹奏楽用(吹奏楽コンクール課題曲の、私の編成と同一)である。小編成ならではの身軽さが楽しい、そんな作品が出来上がった。(BJ1996年5月号曲目解説/伊藤康英)
 
初演データ (初演日)1996年04月21日
(初演者)フェスティバル・ウィンド・オーケストラ 指揮:伊藤康英(海外初演)<BR> 尚美ウィンド・オーケストラ(日本吹奏楽学会主催「伊藤康英の世界」)指揮:伊藤康英(日本初演)
(初演場所)カリフォルニア工科大学バンドフェスティバル
備考 原曲はユーフォニアム4本とアコーディオンのために作曲。その後ピアノ連弾にも編曲。本来は7つの楽章から成るが、吹奏楽編曲に際し、これを4つの楽章に減らした。ピアノ連弾版、フルートとピアノ版、ユーフォニアムとピアノ版あり。
管楽器のためのソナタ

Title:Sonata Classica, for Wind Emsembule

作曲年月日:1995年 08月
編成:Fl. Picc. 6BbCl. 2ASax. TSax. 2Hrn. 2Trp. 2Trb. Euph. Tub. Timp. Perc. 使用打楽器  Timp. Perc 1.(S.D. Sus.Cym. Tom. B.D,) Perc 2(Glock. Xylo. Triangle. )
演奏時間:6:00(約)

 
プログラムノート   西洋音楽、殊に古典的な音楽を構成する上で最も美しい形式はソナタ形式である、と私は思う。さらにフーガのような多声部の音楽もまた、西洋音楽の大きな実りである。それらを取り入れてこの曲を書いた。したがって、演奏に際してはソナタ形式とフーガについてよく研究されたい。
この作品の「課題曲」たる所以は、まさにそこにある。
●編成について
 各パート一人ずつ(ただしクラリネットは二人ずつ)での演奏が、作曲者の意図する理想的な編成である。したがって、演奏には木管セクション11人、金管セクション8人、打楽器3人(できれば4人)、計22~23人を要する。
 
委嘱者 全日本吹奏楽連盟(1996年度吹奏楽コンクール課題曲)
備考 コンデンススコア(ピアノ連弾版)あり。
CDタイトル:全日本吹奏楽コンクール課題曲~参考演奏
レーベル・CD番号:全日本吹奏楽連盟(東芝EMI PCDZ1432)
CD備考:
浜松序曲

Title:Hamamatsu Overture

作曲年月日:1995年 06月 29日
編成:2Fl. Picc. Ob. Bn. EbCl. 3BbCl. AltoCl. BassCl. 2ASax.. TSax. BarSax. 4Hrn. 4Trp. 3Trb. Euph. Tub. St.Bass. Timp. Perc.使用打楽器  7Players. Timp. Cym. B.D. Tam. Sus.Cym. S.D. Tri. Glock. Chimes. Xylo. Tamb. Tom.
演奏時間:5:00(約)

プログラムノート   浜松といえば、やっぱ、5月の浜松祭りできかれるあのメロディ。それにWASBEのスペルを音にしたモチーフ(W-A-S-B-E、つまりdoubleA-Es-B-E……ということは“A-Es-B-E-A-Es-B-E”)。この2つに基づく祝典曲。
世界中の吹奏楽仲間が集うこの大会を、浜松っ子の一人として、とても嬉しく思います。
初演データ (初演日)1995年07月23日
(初演者)大阪市音楽団 指揮:木村吉宏
(初演場所)「第7回世界吹奏楽大会 大阪市音楽団オープニングコンサート」アクトシティ大ホール
委嘱者 浜松市
備考 浜松でのWASBE(世界吹奏楽大会)オープニング曲。「浜松市のためのファンファーレ」を引用。
CDタイトル:WASBE 第7回世界吹奏楽大会コンサート・ライブ
レーベル・CD番号:佼成出版社 / KOCD-4551/4560
CD備考:
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吹奏楽のための《祝祭前奏曲》

Title:Preludio Celebrativo, for Band

作曲年月日:1995年 06月 10日
編成:Picc. 2Fl. Ob(option). 3BbCl. BassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. 2Euph. Tub. St.Bass(option) Timp. Perc.
演奏時間:5:00(約)

プログラムノート  熊谷高校創立百周年を記念して、同校吹奏楽部OB会の委嘱により1995年2月作曲。
百周年の記念式典での演奏を、まずもって想定した。したがって厳粛な、それでいて祝祭的な色調を持った作品となった。
この短い前奏曲には、4つの主題が登場する。5度音程によるファンファーレ風の第1主題、軽快なアレグレット部で登場する第2・第3主題、フーガ部の冒頭に登場する第4主題である。そしてそれらは、終結部ですべて重なりあい、華やかさを増す。
百年という節目が、更なる百年への前奏曲とならんことを祈念して……。
初演データ (初演日)1996年10月28日
(初演者)熊谷高校吹奏楽部
委嘱者 熊谷高校吹奏楽部OB会
管楽器のための《メロディ》

Title:Melodies, for Wind Ensemble

作曲年月日:1995年 06月 10日
編成:Picc. 2Fl. 2Ob. Ehrn. 2BbCl. BassCl. SSax. ASax. TSax. 2Bn.. ContraBn. 4Hrn. 2Trp. 2Trb. 2Euph. Tub. Perc.
演奏時間:10:00(約)

プログラムノート   最近、歌曲を作ることが多くなった。どんな日本語が美しいか、日本語にはどのようなメロディが似合うか、また日本語のリズムにはどんなフレージングが相応しいか、そんなことをさまざまに考えるようになった。
そういった、メロディの美しさを追求したのがこの作品である。ひたすらにメロディを奏で、あるいは絡み合う、それらを、人間の息遣いがそのまま音となる管楽器に託した。
なお編成は、かねてから思索していたウィンド・アンサンブルの形態―サクソフォーンを含む3管編成+金管11+打楽器3、計29人―によっている。東京佼成ウィンドオーケストラの委嘱により、1995年6月10日作曲。
初演データ (初演日)1996年03月29日
(初演者)東京佼成ウィンドオーケストラ 指揮:飯守泰次郎
(初演場所)「東京佼成ウィンドオーケストラ・スペシャルコンサート」東京芸術劇場
委嘱者 東京佼成ウィンドオーケストラ
備考 弦楽合奏版あり。
CDタイトル: 行列幻想 ~邦人作品シリーズ
レーベル・CD番号:佼成出版社 / KOCD-2905
CD備考:
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ショパン・ファンタジー [Pf. Band]

Title:Chopin Fantasy

作曲年月日:1994年 10月 27日
編成:Pf. Picc(Fl3rd). 2Fl. 3Ob. 3BbCl. ASax.TSax. BarSax. 3Bn. 4Hrn.
演奏時間:5:00(約)

プログラムノート  1994年10月27日作曲。1994年11月23日、アクトシティ浜松にて行われた、ショパン・フェスティバルにて初演。作曲者のピアノ、それから浜松交響吹奏楽団(=浜響吹)の団員が演奏。編成は独奏ピアノ、フルート3、オーボエ3、クラリネット3、サクソフォーン(アルト、テノール、バリトン)計3。ファゴット3、ホルン4、というウィンド・アンサンブル。浜響吹は80人を超える大所帯であるが、こうした小さなアンサンブルも見事、といわしめる立派な演奏だった。だいたい、一つのバンドで、オーボエとファゴットを3本ずつそろえることができるなんて、すごいじゃないですか。
さて、曲は、ショパン作曲の前奏曲第7番に依っている。といってピンとこない人には、某胃酸のCMの音楽、といったらお分かりでしょう。この主題による変奏曲。一応8つの変奏と主題から成っている5分弱の小品。
普通、変奏曲は、まず主題が提示され、それからおもむろに変奏されていくのだが、特にこの主題の場合、それをやってしまうと、手の内、見えたり、てな感じになってしまうので、まず変奏からいきなり始まる。それも、ひねくれた変奏ばかり作った。つまり、冒頭は、木管が確かに某胃酸CMの音楽のメロディを演奏しているのだが、独奏ピアノがショパンの練習曲作品10の1を演奏するものだから、聴いている人は、はて何の変奏だろう、とはぐらかされてしまうのである。ほかにも、多数のショパン作品を引用、ますます、何の変奏か分からなくしている。
で、最後に、原曲通り、ピアノが主題を弾いて種明かし、というわけ。
初演データ (初演日)1994年11月23日
(初演者)伊藤康英(Pf.)浜松交響吹奏楽団
(初演場所)「ショパン・フェスティバル」アクトシティ大ホール
委嘱者 ショパン・フェスティバル
備考 編成:pf solo、3fl、3ob、3cl、3sax、3fg、4hrn。ショパン作曲、前奏曲第7番による変奏曲。
組曲《相馬三景》 

副題:1.ファンファーレ 2.新相馬節 3.相馬フェスティバルマーチ
Title:Three Scenes from Soma (suite)
Subtitle:1. Fanfare 2. Shin-Soma-Bushi 3. Soma Festival March

作曲年月日:1994年 09月 28日
編成:Picc. Fl. Ob. Bn. EbCl. 3BbCl. AltoCl. BassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph. Tub. St.Bass. Timp. Perc.
演奏時間:12:00(約)

出版社:イトーミュージック / ブレーン
楽譜備考: 
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プログラムノート  『相馬フェスティバルマーチ第2番』などと共に、1995年の福島国体を記念して作曲。1994年9月28日完成。10分程度の作品。1996年4月21日、作曲者の指揮、カリフォルニア工科大学バンドフェスティバル・フェスティバル・ウィンド・オーケストラにより初演。3楽章から成る。
第1楽章『ファンファーレ』は、『1995年福島国体のための二つのファンファーレ』に手を加えたもの。
第2楽章は『新相馬節』のメロディをもとに、一風変わった、それでいて日本的な伴奏を施したもの。
第3楽章は『相馬フェスティバルマーチ』と同一曲。トリオ部分に『相馬盆歌』が現れるが、実は全曲に亘って、このメロディが展開されている、というふうにできている。
初演データ (初演日)1996年04月21日
(初演者)カリフォルニア工科大学フェスティバル・ウィンド・オーケストラ 指揮:伊藤康英
(初演場所)カリフォルニア工科大学バンドフェスティバル
委嘱者 福島県相馬市
備考 福島県相馬市の委嘱により作曲。3楽章から成る。第3楽章は「相馬フェスティバルマーチ」(1993年1月16日)と同一曲。
CDタイトル: 吹奏楽 プロムナード・コンサート 5
レーベル・CD番号:CRCD-2109
CD備考:
ジュビリー・シンフォニー(祝祭交響曲)

Title:A Jubilee Symphony
Subtitle:Ⅰ Fanfare Ⅱ remembrance / Farewell

作曲年月日:1994年 06月 24日
編成: 2Fl. Picc(Fl3rd). 2Ob. 2Bn. EbCl. 3BbCl. AltoCl. BassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph.. Tub. St.Bass. Timp. Perc.Percussion Instruments: Timp. Sus.cym. B.D. Tam. Chimes. Glocken. Marimba. S.D. Tom. Triangle. Xylophone. Cymbals. Vibraphone. Tree chime.
演奏時間:13:00(約)

プログラムノート  曲は2つの部分から成る。
第1部。冒頭に登場するトランペットの、小さいながら着実な歩みを続ける音型が繰り返され、上昇し、加速し続ける、いわばファンファーレ的な楽章。第2部。時に私たちは前に進むことを得ず、過去に立ち止まる。この楽章は、『リメンブランス』―記憶・覚えていること・記念碑―と、『フェアウェル』―別れのうた―、この両面を持ち合わせている。
たとえば、学生時代というものはほんの数年間しかない。それは、人生の中での単なる通過点にすぎないのかもしれない。しかし後になって、あの時代のことが無性に懐かしく思えてくる。そうして自らの源流が、まさにあそこにあったような気さえする。で、ときに、そのような帰らぬ遠い日々に思いを馳せたりするのだ。
しかしそのような時とは、私たちが現実に行き詰って逃避している時かもしれない。前進するためには、それらの懐かしい過去を踏み台にしながらもそれに別れを告げよう。それもまた一つの祝祭(ジュビリー)ではなかろうか。
初演データ (初演日)1994年10月15日
(初演者)東京佼成ウィンドオーケストラ 指揮:伊藤康英指揮
(初演場所)「浜松北高校創立100周年記念式典」アクトシティ大ホール
委嘱者 浜松北高校同窓会
備考 「ファンファーレ」(5分)「リメンブランス・フェアウェル」(8分)の2部より成る。
CDタイトル:「ぐるりよざ」伊藤康英作品集
レーベル・CD番号:ブレーン / BOCD-7402
CD備考:
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浜松市のためのファンファーレ

Title:Fanfare for Hamamatsu City

作曲年月日:1994年 05月 25日
編成:Picc. Fl. Ob . E♭Cl. A-Sax. Hrn. Trb. Euph. Tub. CB. Timp. Perc
演奏時間:1:00(約)

 
プログラムノート  
備考 浜松祭りのラッパの音を模す4本のトランペットをバンダに配したファンファーレ。後にこれは、『浜松序曲』に転用した。  1994年5月25日作曲。フル・バンドによる1分の作品。初演については確定できず。なお、非売品であるが、静岡県立浜松北高校百周年記念CDに収録されている。ここには『浜松・序幕へのファンファーレ』と書かれているが、『浜松市のためのファンファーレ』のタイトルが正しい。
吹奏楽のための《舟歌》

Title:Funa-Uta(Boat Song), for Band

作曲年月日:1993年 12月 29日
編成:Picc. Fl. Ob. Bn. Cl. Sax. Hrn. Trp. Trb. Euph. Tub. Cb. Timp. Perc.
演奏時間:8:00(約)

出版社:ブレーン
楽譜備考: 
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プログラムノート  今日の演奏会のために呉音楽隊の委嘱により作曲。瀬戸内海、というと、私がすぐに思いついたのは「金比羅船々」。そして、呉のすぐ隣の「音戸の舟唄」、この2曲を使うことにした。
 曲は、シンプルな三部構成でできている。「金比羅…」は、日本の民謡の中でも、ユニークな曲だ。これを十声部のカノンにすることによって、私もユニークな扱い方をしてみた。また、「音戸の舟唄」では、伴奏部とメロディとがあたかも無関係に動いているようにスコアを書いた。ゆったりと瀬戸内海を漕いでいく情景がうかべば、と思う。(初演プログラム/伊藤康英)

歌詞のおぼえ違い、ということは誰にでもある。私は、《金毘羅船々》の冒頭をこう勘違いしていた。「金毘羅船々、お池に帆掛けてシュラシュシュシュー・・・・」正しくはもちろん「追い手」に帆掛けるのである。
だが、「コンピラフネフネ」って言ったって、どんな船かちっとも知らない、という幼少時のことだ。ゼンマイかモーター仕掛けの小振りの模型の船が、狭い「お池」をシュラシュシュシューとスピーディーに走っている、って光景を思い描いていたっていいじゃあないか。
 だから、このメロディを使ったこの曲の冒頭は、そんな音楽になってしまった。楽しいでしょ。どんな仕掛けか、というと、このメロディをなんと10声部のカノン(というより輪唱ってやつか)に仕立て、たくさんの船が「シュラシュシュシュー」している。
 それから、中間部では《音戸の舟歌》のメロディを使ったが、ここでは8分の6拍子と4分の4拍子とが同時に出てくる、というヤヤコシイ楽譜を書き、それによってのんびりと海を行く船を描いた。聴いてるぶんには、まあ何とも涼しげではあるが、演奏者や指揮者は、汗だくでリズムをとっている。この部分の演奏は案外むつかしいよ。
 もう一つ。この場面の後、フルートを中心に日本ふうにずれたアンサンブルがでてくる。これは私自身、ちょっと気に入っているところだ。どんな楽譜になっているか、スコアを見てごらん。(CD「ぐるりよざ」伊藤康英作品集BOCD-7402ライナー・ノーツより)
初演データ (初演日)1994年2月19日
(初演者)海上自衛隊呉音楽隊 指揮:清水昭雄
(初演場所)海上自衛隊呉音楽隊第24回演奏会
委嘱者 海上自衛隊呉音楽隊
CDタイトル:「ぐるりよざ」伊藤康英作品集
レーベル・CD番号:ブレーン / BOCD-7402
CD備考:
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リメンブランスⅡ

Title:Remembrance II

作曲年月日:1993年 10月 24日
編成:Picc. 2Fl. Ob. Ehrn. Bn. EbCl. 2BbCl. AltCl. BassCl. CBassCl. SSax. ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph. Tub. St.Bass. Pf. Timp. Perc.使用打楽器 Timp. Marimba. Sus cym. Vibraphone. Tam. B.D. 2Toms. Xylophone. Cymbals. Tam. Glocken.
演奏時間:13:00(約)

プログラムノート   Remembranceは「覚えていること」「記憶」「思い出」「回想」「追憶」「記念(品)」「記念碑」などと辞書に載っているが、ここでは主に前二者の意味としたい。
記憶の奥深くにある潜在意識への興味から、この曲を作った。同名のタイトルで今年6月に作曲したヴァイオリンとピアノのための作品では、様々な曲の特徴ある和音などを瞬間的にコラージュすることを試みたが、今回は最近私が考えていること―12音階や、民俗音楽に見られるような微分音を含んだ音階、また、自然倍音列のことなど―の中に、滔々と流れるうたを求めた。(初演プログラム/伊藤康英)
初演データ (初演日)1993年11月03日
(初演者)筑波大学吹奏楽団 指揮:伊藤康英
(初演場所)「筑波大学吹奏楽団第30回記念演奏会」ノバホール
委嘱者 筑波大学吹奏楽団
相馬フェスティバルマーチ 第2番

Title:Soma Festival March No.2

作曲年月日:1993年 04月 03日
編成:Picc. 2Fl. Ob. Bn. EbCl. 3BbCl. AltoCl. BassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph. Tub. StBass. Timp. Perc.使用打楽器  Timp. S.D. B.D. Cym. Glocken. Tamb. Xylophone.
演奏時間:6:00(約)

プログラムノート  1995年に行われた福島県での国体のために作曲。相馬地区で独自に私に作曲を委嘱し、『相馬フェスティバルマーチ』、それを含んだ組曲『相馬三景』、『1995年福島国体のための二つのファンファーレ』そうして、この『相馬フェスティバルマーチ第2番』などを作曲した。
1993年4月3日に完成。同年8月20日、相馬市内中高合同バンドによる福島国体リハーサル大会にて初演している。ダ・カーポすると5分を超えるという長めのマーチである。
いわゆる普通に歩けるマーチを書こうとしたのだが、結果、ちょっと速めのテンポ(楽譜指定では4分音符=138)のほうが効果的な演奏となる。
そして、よくある吹奏楽のマーチふうでいながら、より意外性のある面白いものを、と思い、たとえば前奏が7小節でできている、とか、途中かなりしつこいくりかえしがある、とか、ただひたすらに上行し続けるトリオの主題など、工夫を凝らした。
初演データ (初演日)1993年08月20日
(初演者)相馬市内中高合同バンド
(初演場所)福島国体リハーサル大会
委嘱者 福島県相馬市
相馬フェスティバルマーチ

副題:組曲「相馬三景」の第2曲
Title:Soma Festival March

作曲年月日:1993年 01月 1日
編成:Picc. Fl. Bn. Cl. Sax. Hrn. Trp. Trb. Euph. Tub. Cb. Tim. Perc.使用打楽器  Tamb. S.D. Tom. B.D. Cym. Glocken. Xylo. Ygura-daiko.
演奏時間:6:30(約)

出版社:イトーミュージック / ブレーン
楽譜備考:  
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プログラムノート  1995年に行われた第50回福島国体の式典音楽を、相馬市の委嘱によって作曲。このマーチはその内の一つである。1993年1月に作曲。同29日、「式典音楽お披露目式」において、相馬高校と相馬女子高校の合同バンド、作曲者自身の指揮(ついでに櫓太鼓も!)により初演。
トリオに有名な「相馬盆唄」を使い、主部もそのモティーフを発展させて作ったので、分かりやすく、親しみやすい曲となった。が、果たして行進しやすいかどうか、疑問ではある。
初演データ (初演日)1993年01月29日
(初演者)相馬高校、相馬女子高校合同バンド 指揮:伊藤康英
(初演場所)「福島国体式典音楽お披露目式」相馬市民会館
委嘱者 福島県相馬市
備考 福島国体相双地区大会入場行進曲として作曲。福島県民謡「相馬盆歌」を主題とする、コンサート用及び行進曲用マーチ。演奏時間はすべての繰り返しを含む(推奨するカット演奏は5分29秒)
マーチ・ウィンド・サン

Title:March, Wind & Sun

作曲年月日:1993年
編成:Picc. 2Fl. Ob. Bn. EbCl. 3BbCl. AltoCl. BassCl, 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph. Tub. St.Bass. Timp. Perc.使用打楽器 Timp. Sus cym. B.D. Cymbals. Glocken. Traingle. 3Toms. Xylophone. Hi-Hatcym. S.D.
演奏時間:4:00(約)

初演データ (初演場所)オニコウベ・ブラス・フェスタ
委嘱者 オニコウベ・ブラス・フェスタ
管楽器のための《古典幻想曲》

Title:Fantasia Classica, for Wind Ensemble

作曲年月日:1992年 12月 27日
編成:2Fl(Picc). 6BbCl. 2ASax. TSax. 2Hrn. 2Trp. 2Trb. Euph. Tub. Timp. Perc. (option: Ob. Fg.BassCl. BarSax. St.Bass.)使用打楽器  Timp. Triangle. Tambarine. Sus cym. Glocken. Xylophone. S.D. B.D.
演奏時間:7:00(約)

出版社:イトーミュージック / ブレーン
楽譜備考: 
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プログラムノート  少人数の管楽合奏も結構充実した音がするものだ、と思い、この作品は初級バンドむきの小編成作品となった。吹奏楽のスコアをわずか10段で書いてしまい、ふざけている、と思われるかもしれないが、オーケストレーションのテクニックとしては、あまり細かく分けない方がかえってよく鳴るのである。
最低22人で演奏することができるが、初演のシンシナティのバンドは60人程度であった。また「初級向き」と書いたが、あくまでそれは技術的なことである。難解な曲ではないが、音楽表現としてはさしずめ「中級の上」としておこう。(解説:伊藤康英)

 昨年のある県での吹奏楽コンクールの小編成部門。審査員をしていた私は、15人で出場したあるバンドの演奏に感銘を受け、そのようなバンドのために何か書きたいと思った。音域を限定し、技術的、音楽的には決して難しくなく、私自身、いろいろな仕掛けを楽しみながらこの曲を作曲した。
  曲の構成は次の通り。
  冒頭はシャコンヌ風に始まり、上声部ではカノンが形作られる。[25]からの低音の音階は、ヴェルディの「4つの宗教的小品」の「謎の音階」の引用である。[40]からのアレグロはソナタ形式。[49]からの第1主題のベースには冒頭のシャコンヌ主題が流れている。第2主題は[73]から。これはシャコンヌ主題の縮小型。[92]からは自由な経過的な展開部。[123]より再現部。[155]よりシャコンヌ主題によるフーガ。[191]での主題の重なり方に注意。[207]からは冒頭の再現。[239]からはコーダ。
  演奏に際してはまず、一人一人が綿密な楽曲分析をし、自分の役割を認識してほしい。編成は基本的には各パート1人(クラリネットは2人)であるが、バランスを調整しながら人数を増やしてもよい。またオプション楽器は必要に応じて加えることができる。大編成のバンドでは、人数を減らし、アンサンブルの練習に活用してほしい。
  テンポには融通を持たせたが、それぞれのテンポの関連に注意のこと。特に[92]は遅くならないように。冒頭もあまり遅くしすぎると全体のバランスが崩れる。また、無意味なアゴーギグをつけ過ぎないように。たとえばバッハの作品では、基本的にはテンポは変えないというのと同じように、この曲でも、ハッタリなどで演奏をごまかさず、むしろ、細部に磨きをかけ、この対位法的小品を楽しんでもらいたい。
  この曲を全国の小編成バンドに捧げる。
(出版譜「作曲者のことば」より) 
初演データ (初演日)1993年05月17日
(初演者)シンシナティ大学吹奏楽団 指揮:伊藤康英指揮
(初演場所)「日本吹奏楽指導者クリニック ’93」
委嘱者 日本バンドクリニック委員会
備考 サクソフォーン八重奏編曲あり。
CDタイトル: 2013 新曲コンサート 埼玉県・楽曲研修会【2枚組】
レーベル・CD番号: ブレーン/OSBR-29035
CD備考:
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吹奏楽のための交響的絵画《富士》

Title:Fuji, Symphonic Sketch for Band

作曲年月日:1992年 11月 13日
編成:2Fl. Picc(3rdFl). 2Ob. Bn. EbCl. 3BbCl. AltCl. BassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph. Tub .St.Bass. Timp. Perc.使用打楽器  Timp. B.D. Sus.cym. Tom. Glocken. Triangle. Ratchet. Tam. 3Toms. Xylophone.
演奏時間:9:00(約)

プログラムノート  「富士」をテーマに書いてほしい。しかし、富士を歌った民謡はないし、かといって文部省唱歌の「富士山(昔は「ふじのやま」と言っていたそうだ)」じゃどうもねえ。―と石川先生は電話口でおっしゃる。
その後私は、「富士山」を児童合唱とアンサンブルのために編曲する機会があった。石川先生の一言が気になっていたので、私はわざと豪華(?)な編曲に仕上げてみた。そうしたら、この唱歌のメロディがより一層頭から離れなくなってしまった。
分析してみるとなかなかどうして、素晴らしいメロディである。音階を上り下りする単純な動きの中で、うまく跳躍進行を織り混ぜている。クライマックスの作り方も実に見事。
というわけで、私の曲は、このメロディに基づいた一つの交響的絵画となった。前半は、モティーフを細かく分けた上での展開、後半は合唱編曲からの引用である。将来、この作品を大合唱と共に演奏できたら、と夢を膨らませている。富士交響吹奏楽団の、否、富士市の「テーマ音楽」となるだろうか。
山は登るとそれ自身の勇姿は見られない。富士山はちょっと離れた方が美しく見える。同じく、この唱歌も、少しばかり遠くからもう一度眺めて見よう。(初演プログラム/伊藤康英)
初演データ (初演日)1992年11月29日
(初演者)富士交響吹奏楽団 指揮:石川喬雄
(初演場所)富士交響吹奏楽団20周年記念コンサート
委嘱者 富士交響吹奏楽団(20周年記念委嘱作品)
管楽器のための《序曲》

Title:Overture, for Wind Ensemble

作曲年月日:1992年 06月 29日
編成:2Fl. 2Ob. 2Cl. 2ASax. 2Fg. 2Hrn. 2Trp. 2Trb. Tub.
演奏時間:7:00(約)

 
プログラムノート  ……これまでの吹奏楽と発想を変えて、2管編成で書いてみた。教育の現場で吹奏楽の小編成化が進みつつある今、このような編成も少人数での吹奏楽へのアプローチの一つであると思う。……単なる倍音列の提示から始まる。そしてそこから派生したモティーフが断片的に発展する。中間部には微分音を含んだ旋法的な部分もきかれる。結局、この作品は「音楽」への序曲とも言うことができ、また、管楽器によるアンサンブルの可能性への序曲ともなることを、願っている。(1992年11月/伊藤康英)
初演データ (初演日)1992年07月17日
(初演者)東京佼成ウィンドオーケストラ 指揮:F. フェネル
(初演場所)フレデリック・フェネル・ホール
委嘱者 F. フェネル氏
備考  通常の吹奏楽編成ではなく、オーケストラの管楽器セクションを拡大させたウィンドアンサンブル形l.態の作品。2管編成のオーケストラの管楽器セクションをもとに全体のバランスを考えて他の楽器が追加されています。フェネルのファーストネームであるフレデリック     F-R(E)-E-D-E-R(E)-i-C-k から得られる            F-D-E-D-E-D-C という音列がテーマに用いられています。金管楽器による自然倍音列の提示で始まるこの曲は「音楽」への序曲であるとも作曲者は語っている。 (阿部 達利)
吹奏楽のための《台湾狂詩曲》

Title:Rapsodia Formosa, for Band

作曲年月日:1992年 01月 06日
編成:Picc. 2Fl. Ob. Bn. EbCl. 3BbCl. AitCl. BassCl. 2ASax.TSax.BarSax. 4Hrn..3Trp 3Trb. Euph. Tub. St.Bass. Timp. Perc.使用打楽器  (4Players) Triangle. Gong. Suspended.Cymbal. Cymbals. Tam. 3Toms. 5Temple.Blocks. B.D. Glockenspiel. Xylophone.
演奏時間:8:30(約)

 
プログラムノート  この曲では二つの台湾民謡―主要部には「都馬調」を、中間部に「百家春」―を使った。そしてこのような五音音階のメロディをどのように西洋の和声に乗せるか、という様々な試みをしてみた。形式としては基本的に「急緩急」であるので、分かりやすいと思う。
……公式の初演は8月17日、(アジア・パシフィック吹奏楽会議の)参加者による合同バンドによって行われたが、それに先立ち、自作について語る「作曲家によるクリニック」が設けられた。このときのモデルバンドとして、同じくこの大会に参加した豊島区吹奏楽団が起用され、ここでも作品は演奏された。
日本に戻って、気が付いた。「そういえば日本初演をしていない!」
 台湾でご一緒した縁で、是非豊島区吹奏楽団にと思い本日(急遽ながら)演奏することになった次第であります。(日本初演プログラム/伊藤康英)
初演データ (初演日)1992年08月16日
(初演者)アジア・パシフィック吹奏楽会議参加者による合同バンド 指揮:陳澄雄
(初演場所)「第7回アジア・パシフィック吹奏楽会議(APBDA)」
委嘱者 台湾管楽協会
CDタイトル:創価グロリア吹奏楽団“第14回定期演奏会”
レーベル・CD番号:自主制作
CD備考:
未完のオペラへの間奏曲

Title:Interlude a un Opera inacheve

作曲年月日:1991年 8月 8日
編成:Picc. 2Fl. 2Ob. 2Bn. EbCl. 3BbCl. AltoCl. BassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph. Tub. St.Bass. Timp. Perc. 使用打楽器  3Toms. Sus.cym. B.D. Tam. Bongos. Glocken. Vibraphone. Xylophone. S.D. Cym. Chimes.
演奏時間:7:40(約)

出版社:ブレーン
楽譜備考:   
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プログラムノート  何かオペラの一シーンのような音楽を作りたいと思った。ドラマチックで抒情的な。しかしながら、特にストーリーを持たせようとは思わなかった。したがって「未完のオペラ」であると言えよう。
以前に同じようなコンセプトで「未完のオペラへの前奏曲」という吹奏楽曲を書いたことがある。その作品や私の他の吹奏楽作品から、若干のモティーフの引用を試みた。そのためこの曲は、私自身に関する「オペラ」であるかも知れない(R.シュトラウスの「英雄の生涯」のような)。
ところで「間奏曲」とは、「オペラのこれからの劇的な展開の予感の場面」である。
そこでこの曲のタイトルを、「未完のオペラへの間奏曲」とすることにした。それはまた、20周年という節目を迎え、さらに様々なドラマが展開されていくであろう札幌吹奏楽団への私からのお祝いでもある。(初演プログラム/伊藤康英)

オペラを書きたい、と思っていた。数年前より歌曲をたくさん書くようになり、少し目標に近付いてきたような気がする。日本語の操り方は結構分かってきた。これからはドラマのことについて勉強しなくてはならないと思っている。
 しかし、この曲を書いた1991年当時は、まだ漠然と「オペラ」について思っていただけだった。ただ、1987年より作陽音楽大学(現・くらしき作陽大学)のオペラのクラスに勤務していたこともあり、少しはオペラを分かっているようなつもりになっていた。そういえば、作陽があった津山市を流れる吉井川のほとりを歩きつつ、この曲の構想を練ったっけ。
 けれどもこの曲のタイトルの由来は、さらに遡る。長く指揮を務めている筑波大学吹奏楽団からの委嘱を受けた際に《未完のオペラへの前奏曲》(1986)という曲を書いた。それは大学院を終えたばかりの私が、さてこれからどんな作曲をしていったらいいのか、模索している頃でもあった。だから「未完のオペラ」とは、じつは私自身のことでもある。その次作としてこの間奏曲を作曲した。この曲では、たとえばリヒャルト・シュトラウスの《英雄の生涯》のように、過去の自分の吹奏楽作品のメロディの多くを引用して作った。自らを英雄に準えながら。
(CD「ぐるりよざ」伊藤康英作品集BOCD-7402ライナー・ノーツより)
初演データ (初演日)1991年11月23日
(初演者)札幌吹奏楽団  指揮:菅原克弘
(初演場所)札幌吹奏楽団20周年記念定期演奏会
委嘱者 札幌吹奏楽団(20周年記念委嘱作品)
備考 《演奏上の留意点》  冒頭部と後半部は、かなり激しい音楽。impetuosoは「猛烈な」、「激しい」といった意味。リズムも入り組んでおり、これを正確に演奏することも大切だが、全体として、音楽の方向性や勢いを見失わないようにしたい。  付点8分音符+16分音符のリズムは特に正確に、浮き立つように。  5連符も正確に演奏したい。また、タイのかかったリズムは特に注意。  さて、中間部、特に60小節からは落ち着いて演奏したい。第69小節からは静寂な音楽である。この静寂さをよく感じ取って演奏したい。同じ音型が休符を隔てて幾度も繰り返されるが、ことに休符については、これをきちっとカウントする、というよりも和音一つ一つの響き具合をよく認識し、音型が繰り返される意味を考えつつ、一歩ずつ着実に音楽を進めていきたい。  日本的な音空間ともいえよう。  なお、オプション扱いではあるが、中間部で一部、コントラバス・クラリネットを使用している。場合によっては、他の部分でも、任意、コントラバス・クラリネットを加えてても良い。  参考までに《プログレス》の主題が第19小節のフルートに、《エヴォカシオン》で用いた12音音列が、たとえば題47小節のチューバからクラリネットに受け継がれて登場、《シンフォニア》のファンファーレが第126小節の金管に、というふうに引用した。(阿部 達利)
CDタイトル:「ぐるりよざ」伊藤康英作品集
レーベル・CD番号:ブレーン / BOCD-7402
CD備考:
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吹奏楽のための《北海変奏曲》

Title:Variations from the Northern Sea, for Band

作曲年月日:1991年 05月 06日
編成:Fl. Picc. EbCl. 3BbCl. BassCl. 2ASax.. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph. Tub.. St.Bass. Timp. Perc. 使用打楽器  Timp. Triangle. Cym. Glocken. Chimes. B.D. Sus.Cym. Tamb. S.D. Xylophone. 3Toms. Yagura-daiko.(Low.tom). hyoshi-gi.
演奏時間:6:00(約)

出版社:TRN Music Publisher
楽譜備考: 
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プログラムノート  要するに「ソーラン節」の変奏曲である。この歌は、様々な作曲家によって作品の格好の材料にされたり、また編曲もされてもいるが、私はこの歌を西洋風に料理してみた。
曲はいきなり第1変奏から始まることになる。そして、うっかりしていると、最後に完全な形で主題が現れるまでどこに「ソーラン節」のモティーフが出てきたのか分からずじまいになるかも知れない。私の料理の腕前や如何に? (初演プログラム/伊藤康英)
初演データ (初演日)1991年06月10日
(初演者)海上自衛隊大湊音楽隊 指揮:清水昭雄指揮
(初演場所)函館市民会館大ホール
委嘱者 清水昭雄氏、及び海上自衛隊大湊音楽隊
備考 ピアノ連弾版編曲あり。
CDタイトル:Band Classics Library 9
レーベル・CD番号:ブレーン/BOCD-7430
CD備考:
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CDタイトル:吹奏楽 プロムナード・コンサート 19
レーベル・CD番号:CRCD-2175
CD備考:
交響曲 (全3楽章)

Title:Symphony

作曲年月日:1990年 11月 20日
編成:2Fl. Picc. 2Ob. 2Bn. EbCl. 3BbCl. EbAlt.Cl. BbBassCl. EbCbassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 5Trp. 3Trb. 2Euph. 2Tub. St.Bass. 4Perc.Percussion Instruments: Timp. S.Cym. B.D. Tom(high) Glocken Bongos Tam Chim. S.D. Xylophone Vibraphone Sus.Cym(small) 3Toms Hyoshi-gi Triangle Cym.
演奏時間:15:00(約)

プログラムノート  今回の作曲にあたって、楽器編成としてはあえて通常の吹奏楽の編成に制限した。どのスクールバンドでもみられる楽器ばかりである(たとえば、ハープやチェレスタ―ましてやナイチンゲールの鳴声―といったものは使っていない。(注)ただしピッコロを3本使ったことだけは例外である)。しかし、絶対にアマチュアバンドでは演奏できない、あるいは多くの吹奏楽ファンがよく考える「自由曲として使えないか」という期待には背く作品を書いた。
曲は3つの楽章からなる。極端に短い第1楽章(約2分!)、この楽章にすべての要素が提示される。第2楽章(約10分)、曲全体の最も主要な部分である。再び極端に短い第3楽章(約3分!)、この慌ただしい中で全曲を閉じる。
なお、蛇足ながら……、今日の演奏会よりすこし前に私は30才になり、この作品は私の20代最後の作品となった。ちょうど佼成W・Oも創立30周年。お祝い申し上げると同時に、この作品の委嘱から2年、永いこと待ち続けて下さったことに感謝します。(初演プログラム/伊藤康英)
初演データ (初演日)1990年12月24日
(初演者)東京佼成ウィンドオーケストラ 指揮:小田野宏之指揮
(初演場所)東京文化会館
委嘱者 東京佼成ウィンドオーケストラ
CDタイトル: 飛天の舞 ~邦人作品シリーズ
レーベル・CD番号:佼成出版社 / KOCD-2908
CD備考:
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ユーフォニアムと吹奏楽のための《幻想的変奏曲》 [Euph. Band]

Title:Fantasy Variations, for Euphonium and Band

作曲年月日:1990年 07月 03日
編成:Euph. Band使用打楽器  Timp. Triangle. Sus Cym. S.D. Cym. B.D. Glockeen. Tom.
演奏時間:8:30(約)

プログラムノート  ポップでライトフレバーで易しくて演奏効果があって親しみやすく……というのが、三浦氏からの委嘱要件であった。
 アイヌの音楽を素材として使った。主に用いたのは、「ヤイサマニナ」―恋歌である。アイヌの音楽は一言でいえば「声の音楽」であり、そのなかで「リズム」の強さが打ち出される。(余談ながら、現代の音楽家がシンセサイザーを使いつつ奏でている「ミニマル」的な音楽などは、すでにアイヌの音楽のなかに表現されていた。)

 この作品は変奏曲ではあるが、いささか変わった形式となった。各変奏がそれぞれ独立した音楽形式になっていることである。つまり、第一変奏が「シャコンヌ」、第二変奏が「ロンド」、そしてテーマが「アリア」、続く第三変奏が「フーガ」となっている。(伊藤康英)
初演データ (初演日)1990年8月11日
(初演者)三浦徹(Euph)札幌吹奏楽団 指揮:菅原克弘指揮
(初演場所)「国際テューバ・ユーフォニアム札幌大会」教育文化会館
委嘱者 三浦徹氏
備考 ピアノ伴奏版「ユーフォニアムとピアノのための《幻想的変奏曲》」(Studio Music)、ピアノ連弾版「アイヌ民謡による変奏曲」、ブラスバンド版あり
CDタイトル:土気シビックウィンドオーケストラ Vol.2 フェスティバル・ヴァリエーション
レーベル・CD番号:CAFUA (CACG-0085)
CD備考:外囿祥一郎(ユーフォニアム)
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CDタイトル:BRIGHT SUNLIT MORNING
レーベル・CD番号:Polyphonic (QRPM149D)
CD備考:
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CDタイトル:シカゴ・ライブ
レーベル・CD番号:佼成出版社 / KOCD-8010
CD備考:
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吹奏楽のための交響詩《ぐるりよざ》

Title:Gloriosa (Gururiyoza), Symphonic Poem for Band

作曲年月日:1990年 02月
編成:Fl. Ryu.(Picc.) Ob. Bn. EbCl. 3BbCl. B.assCl. 2A.Sax. T.Sax. B.Sax. 4Hrn. 2Trp. 3Trb. Euph. Tub. St.Bass. Timp. 3Perc.
演奏時間:20:00(約)

出版社:イトーミュージック
楽譜備考:吹奏楽のための交響詩「ぐるりよざ」のコンデンス・スコアです。 小さく書かれた音符を省くと、すべてピアノで弾くことができます。 ピアノ独奏のためのコンサート用楽譜としては適しません。コンサート用ピアノ演奏には、これとは別に、1楽章の独奏楽譜と、3楽章の連弾楽譜があります。
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出版社:音楽之友社
楽譜備考: 
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プログラムノート  「佐世保や長崎の民謡を素材として曲を作ることになったが、長崎の街はまだ訪れたことがない。古くから大陸文化が上陸し、キリスト教が最初に根を下ろし、洋楽が(一般にいわれる明治初頭ではなく)最初に伝来した土地柄である。この街に対する興味が増すにつれ、結局、和洋入り乱れた作品に仕上がってしまった。―交響詩「長崎ちゃんぽん」といった感じである。……」
初演用のプログラム原稿に私はこのように書いた。
 抒情的「祭」の委嘱者である岩下章二氏に、今度は長崎をテーマにした曲を作ってほしいと言われた。長崎は、外国の文化がいち早く上陸した土地だ。キリスト教も入ってきた。そして、その後の禁教の犠牲となった数多くの人がいた。隠れキリシタン、そう呼ばれている。これをテーマにして吹奏楽曲を書こうと思いたった。ところが調べていくうちに、この時代の音楽についていろいろと面白いことが分かってきた。この頃、洋楽も日本に伝わっていたのだ。いくらマスコミが発達していなかったとはいえ、キリスト教の禁止令が出るまでに、百年近くの時間があった。かなり人口に会炙したはずだ。織田信長が洋楽を楽しんだという記録も残っているらしい。
 ところで洋楽とは言っても、当然ながら、バッハも生まれていなかった時代、つまり西洋の音楽史がまさに花開かんとしていたころの音楽である。その様な数多くの種類の音楽が輸入された。その中にはユニゾンの音楽も含まれていた。西洋の音楽も根本となった音楽、グレゴリオ聖歌である。西洋ではこの単旋律の上に新たに声部を加えることによってポリフォニーの音楽へと発展していった。一方日本では、そのユニゾンの音楽を隠れキリシタンが必死に守ろうとしながらも、いつの間にか日本的な装飾が付き、言葉は訛り、結果、グレゴリオ聖歌とは似ても似つかないものとなってしまった。
  ぐるりよざ、どーみの、いきせんさ、すんでら、しーでら、
  きてや、きやんべ、ぐるーりで、らだすて、さーくら、をーべり
長崎月島島で、現在でも受け継いでいる隠れキリシタンたちの歌が、このようにレコードに収められている。ちなみに、原形(第1楽章の冒頭に使用)は次の通りである。
  O gloriosa Domina, excelsa super sidera,
  qui te creavit provide, lactasti sacro ubere.
長年隠れキリシタンを研究されてこられた皆川達夫氏によってこれらの説が発表されている。この聖歌は16世紀頃のスペイン・ポルトガル地域で歌われていたマリア賛歌だそうである。
レコードからは、キリシタンが生死をかけたギリギリの状況下、必死に教義を守ろうとした叫びがきこえてきそうである。そのことは私に大いに作曲への意欲を沸かせた。しかし、ここに日本と西洋の音楽の違い、あるいは不思議な共通点をも発見したような気もした。それは、西洋の楽器、西洋の編成を扱いながら、日本をどのように表現していこうかと考えている私にとって、大変興味深いことであった。(解説:伊藤康英)
初演データ (初演日)1990年02月16日
(初演者)海上自衛隊佐世保音楽隊 岩亀裕子(龍笛) 指揮:岩下章二指揮 
委嘱者 岩下章二氏、 及び 海上自衛隊佐世保音楽隊
備考 管弦楽版あり。第1楽章のピアノ独奏編曲あり。第3楽章のピアノ連弾編曲あり。 編成について:この曲は基本的に各パート1人(ただしクラリネットは各3名、ユーフォニアムとチューバは各2名)で書かれており、38名で演奏可能である。各パートを何人かずつで演奏する場合はバランスに留意のこと。なお、フルートの人数が多すぎる場合には、部分的に2パートに分け、オーボエのパートと重ねてもよい。
CDタイトル:ぐるりよざ
レーベル・CD番号:KOSEI PUBLISHING(KOCD2902)
CD備考:
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CDタイトル:「ぐるりよざ」伊藤康英作品集
レーベル・CD番号:ブレーン / BOCD-7402
CD備考:
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CDタイトル:LUMINARIES
レーベル・CD番号:ブレーン/ BOCD-1601
CD備考:
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CDタイトル:WASBE 第8回世界吹奏楽大会コンサート
レーベル・CD番号:ブレーン / BOCD-7727/7736
CD備考:
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吹奏楽のための《タブロー》

Title:Tableau, for Band

作曲年月日:1989年 07月
編成:Picc. 2Fl. Bn. EbCl. 3BbCl. AltoCl. BassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph. Tub. St.Bass. Timp. Perc. Pf(opthion)
演奏時間:6:00(約)

プログラムノート  原曲はサクソフォーン・オーケストラのための作品。1988年に日本で開催された世界サクソフォーンコングレスにて初演された。  実は訳あって作曲が遅れわずか2日で(パート譜込みで)書き上げた。後にこれを吹奏楽に編曲。1989年7月完成。『シンフォニア』の初演をしてくれた重広昭雄先生と山口県立防府高校吹奏楽部が、同年の吹奏楽コンクール自由曲として取り上げてくれた。
 この曲の作曲についてのエピソードについては、触れないことにしましょう。けれど、この二つのみは明かしておきます。
まず、曲の最後に美しいサクソフォーンのソロで私の名前のモティーフが奏でられること。この音列は「YASUHIDE」の内、「ASUHDE」を、それぞれA音、S(=Es)音、U(=Ut=フランス語の、「ド」にあたる)音、H音、D音、E音と読んだもの。私自身少なからず気に入っており、しばしば作品中に用いている。
それから、プッチーニのオペラ『ボエーム』第3幕中の四重唱からのメロディを引用したこと。ちなみにここの歌詞は、
「冬に独りぼっちでは死んでしまう……」。
初演データ (初演日)1989年
(初演者)山口県立防府高校吹奏楽部 指揮:重広昭雄
委嘱者 重広昭雄氏、及び 防府高校吹奏楽部
備考 「サクソフォーン・オーケストラの為のタブロー」より編曲
CDタイトル:山口県立防府高等学校吹奏楽部1984-1996 音楽の歓びと感動を求めて
レーベル・CD番号:BRAIN (BOCD9654/9655)
CD備考:
未完のオペラへの前奏曲

Title:Prelude a un Opera inacheve

作曲年月日:1986年 10月
編成:Picc. 2Fl. Ob. EbCl. 3BbCl. AltoCl. BassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph. Tub. St.Bass. Pf. Org. Timp. Perc. Trp. Trb(BANDA)
演奏時間:13:00(約)

プログラムノート ……言わばこの作品は、シェーンベルク頌歌ですね。そういう意味もあって、この曲の冒頭はシェーンベルクの「グレの歌」の冒頭とほとんど同じにしておきました。そしてそこから、私なりの展開をさせてみようと思ったわけです。
……何かオペラがあるとしますと、登場人物の人間関係がいろいろ複雑に入り組んで、それがある終曲へ向かうわけですが、……その物語が最後にどうなるのかまだ判っていないんです。そしてこの曲はその「未完のオペラ」に導かれるための前奏曲なんですよ。……(対談/初演プログラム)
初演データ (初演日)1986年11月02日
(初演者)筑波大学吹奏楽団 指揮:伊藤康英
委嘱者 筑波大学吹奏楽団
備考 筑波大学吹奏楽団の委嘱により作曲。編成:2 fl (一部3パート)、 picc、 2 ob (2nd は ehr 持ち替え)、 2 fg、 Eb cl、 3 Bb cl、Eb Alto cl、Bb Bass cl、2 as、ts、bs、4 hr、3 tp、3 tb、euph、tub (一部3パート)、cb、p、org (または syn)、Timpani、3 Percussions (Glockenspiel, Vibraphone, Suspended Cymbal, Bass Drum, Snare Drum, 3 Toms, Triangle, Cymbals)、BANDA I (3 Bb Trumpets、3 Trombones) ステージに向かって左側の離れた位置に配置される、BANDA II 3 Percussions (Snare Drum, Bass Drum, 3 Toms, Suspended Cymbal)) ステージに向かって右側の離れた位置に配置される。大規模な祝典曲。
吹奏楽のための《抒情的「祭」》

Title:Festal Scenes, for Band

作曲年月日:1986年 09月 01日
編成:Picc. Fl. Ob. Bn. EbCl. 3BbCl. BassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb.. Euph. Tub. St.Bass.Timp. Perc.
演奏時間:6:20(約)

出版社:TRN Music Publisher
楽譜備考: 
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プログラムノート  1986年夏、作曲。青森県民謡等を用いた作品。素材としては、津軽じょんがら節の間断なく続く三味線のリズム感、津軽ホーハイ節の「ホーハイ」とヨーデルよろしく歌われる特徴あるモティーフ、津軽あいや節の旋律、弘前ねぶたの笛や太鼓の音などが、用いられている。
 この曲を作曲しつつある日、私の友人から数年ぶりの手紙が届いた。それは上海からであった。突然東南アジアを放浪し始めたkの哲学的思索に耽りがちな友人は、「……とまれ、長い航海を経て降りたった土地は、そこがどこであれ、金無垢の浄土に生けるものが、いっせいに花開いたように目に映り、まさに人生は祭りですね。……」と書き綴っていた。
民謡のにぎやかなモティーフの集まりであるこの作品に、私は一種の「祭」の縮図を見る思いがした。そして、聖と俗との混沌の中で、この「祭」は抒情性を極めるのであった……。(初演プログラム/伊藤康英) 
初演データ (初演日)1986年10月28日
(初演者)海上自衛隊大湊音楽隊 指揮:岩下章二指揮(日本初演) イリノイ大学バンド 指揮:伊藤康英指揮(海外初演)
委嘱者 岩下章二氏、及び 海上自衛隊大湊音楽隊
備考 岩下章二氏及び海上自衛隊大湊音楽隊の委嘱により作曲。ピアノ独奏曲への改作(「抒情的「祭」ファンタジー」)、ピアノ連弾版編曲、オーケストラ編曲あり。
CDタイトル:Band Classics Library 7
レーベル・CD番号:ブレーン/ BOCD-7468
CD備考:
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CDタイトル:火の伝説 ~フェイバリット・パスト・アルバム・シリーズ
レーベル・CD番号:佼成出版社 / KOCD-2904
CD備考:
CDタイトル:祝祭集 ~ウィンドマスターシリーズ vol.9
レーベル・CD番号:佼成出版社 / KOCD-2410
CD備考:
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吹奏楽のための《シンフォニア》

Title:Sinfonia, for Band

作曲年月日:1985年 01月
編成:Picc. 2Fl. Hb. Bn. EbCl. 3BbCl. 2ASax.TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph.Tub. St.Bass Timp. Perc.
演奏時間:7:00(約)

プログラムノート  芸大の作曲科では、一年に1曲の提出作品を出さなくてはならない。3年次の提出は、管弦楽曲だった。この頃サクソフォーン奏者の須川展也君が、毎日のように「サックスの曲書いてくれえ」というものだから、よしベルクの歌劇『ルル』 などのように、オーケストラの中にもサクソフォーンを使ってみよう、と思い立ち、アルトとテノール各1本使ったオーケストラ曲を書き上げた。これが『シンフォニエッタ』、2楽章から成る13分程度の作品である。
 この曲の学内での初演に際しては、かのフランスの作曲家、アンリ・デュティーユ氏にもご来臨いただき、特にオーケストレーションを褒めて下さり嬉しかった記憶がある。
 で、我が師、野田暉行先生は、これを翌年の日本音楽コンクールに提出してはどうか、と勧めて下さった。とはいっても、この曲は、提出間際に慌てて書いた部分もあり、今一つ気に食わぬ箇所がある。というわけでこれを改訂、1楽章の11分程度の作品にまとめ直した。タイトルは、『シンフォニア』。
この作品で私は第3位を得た。
 さて、このコンクールの模様はFMラジオにて放送された。それから数年後、山口県立防府高校の吹奏楽の顧問をなさっていた重広昭雄先生からお電話をいただいた。生徒さんが(お名前を失念)あの時のラジオを聴いていて、これを是非吹奏楽でやりたいというのだ。そこで、吹奏楽編曲を作成。コンクールという実情を考えて、7分半に縮めた。
 こうして、1985年の1月に、吹奏楽のための『シンフォニア』ができあがり、同年のコンクールにて初演された。
 オーケストラ曲からの編曲ということと、大学の提出作品ということもあり、かなり細かくモチーフが絡み合っており、これを吹奏楽で再現するには演奏は容易ではない。『エヴォカシオン』の浜北西高校同様、高校生レヴェルでよく演奏できたなあ、と、今も驚くばかりである。
(解説:伊藤康英)
初演データ (初演日)1985年8月11日
(初演者)山口県立防府高校吹奏楽部 指揮:伊藤康英指揮
(初演場所)防府公会堂
委嘱者 防府高校吹奏楽部
備考 重広昭雄氏及び山口県立防府高校吹奏楽部の委嘱により作曲。管弦楽曲「シンフォニア」(1982)より編曲。日本音楽コンクール第3位入賞作品。原曲は11分
CDタイトル:山口県立防府高等学校吹奏楽部1984-1996 音楽の歓びと感動を求めて
レーベル・CD番号:BRAIN (BOCD9654/9655)
CD備考:
ラグ・タイム・マーチ

Title:Rag-Time-March

作曲年月日:1984年 09月
編成:2Fl. Picc. Ob. Bn. 3BbCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph. Tub. St.Bass Timp. Perc.
演奏時間:3:00(約)

出版社:TRN Music Publisher
楽譜備考: 
 
プログラムノート 全日本吹奏楽コンクールの課題曲募集、これには、毎年多くの作品が寄せられる。私もかつては何回か応募していた。が、ご存じの通り、一度として入選したことはなかった。
 この『ラグ・タイム・マーチ』も、そういう経緯でできた曲である。当時、私の友人のサクソフォーン奏者須川展也君は、ラグ・タイムを非常に好み、よく演奏していた。そのリズムやワン・パターンな和声進行などが私にも面白く感じられ、ならば、とジョプリンふうのラグ・タイムを書いてみたのだ。そこで私の他のマーチ同様歩けないマーチとなった。 しかし、一応マーチの部門として課題曲に応募したため、少しはマーチっぽくしなくちゃと思い、中間部には、クラリネットの低音域に始まるトリオの主題を書いた。
 私と須川君、それからフルートの友人、渡瀬英彦君との3人で、当時はよくトリオを組んで演奏していた。そのため、この曲作曲の直後に、フルート、アルト・サクソフォーンとピアノというトリオ用編曲も作った。
 1984年9月作曲。1992年2月にオーケストレーションを改訂。3分の作品。長らく初演の機会がなかったが、1992年3月29日、浜松市内高校選抜バンド、作曲者の指揮により、全日本高校選抜吹奏楽大会にて初演された。
初演データ (初演者)浜松市内高校選抜バンド 指揮:伊藤康英
(初演場所)「全日本高校選抜吹奏楽大会」
備考 ジョプリン風のラグタイム。コンサート用マーチ。fl,A.sax,pf用編曲あり。
吹奏楽のための《交響的典礼》

Title:Liturgia Sinfonica, for Band

作曲年月日:1984年 07月
編成:2Fl. Picc. Ob. Bn. EbCl. 2BbCl. AltCl. BassCl. 2ASax. TSax. Bar.Sax. 4Hrn. 4Trp. 3Trb. Euph. Tub. St.Bass. Timp. Perc(6players)
演奏時間:6:30 (約)

プログラムノート  ……以前に作った吹奏楽曲よりも簡単で分かりやすい曲をと思って作曲した(筈なのに、実際に演奏すると随分難しいらしい)。
 アルトサックスで提示されるごく単純なテーマ(というより動機)が全曲を支配し、これが中間部のアレグロのフーガ的な部分や、最後のコラールにまで及んでいる。 
初演データ (初演日)1984年
(初演者)浜北西高校吹奏楽部 指揮:松下孝一
委嘱者 松下孝一氏
備考 松下孝一氏及び静岡県立浜北西高校吹奏楽部の委嘱により作曲。エンディング別ヴァージョンあり。この別ヴァージョンによるものを当初はこれを「リトゥルジア・シンフォニカ」として発表したが、後に破棄。
CDタイトル:交響詩「時の逝く」 伊藤康英吹奏楽作品集
レーベル・CD番号:CAFUA RECORDS(CACG0015)
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CDタイトル:21世紀の吹奏楽「響宴II」
レーベル・CD番号:ブレーン / BOCD-7452/7453
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吹奏楽のための『エヴォカシオンⅡ』

Title:"EvocationII" for Band

作曲年月日:1984年
編成:Picc. 3Fl. 2Hb. 2Bn. 12Cl. AltoCl. BassCl. SSax. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Bartone. Tub. 2Hp. Pf. Perc.

初演データ (初演日)1984年
備考 製本コピー譜 校正入り
アルトサクソフォーンと吹奏楽のための《幻想的協奏曲》[Sax. Band]

Title:Concerto Fantastique pour Saxophone Alto et Orchestre d'Harmonie

作曲年月日:1983年 03月 12日
編成:A-Sax. BandPercussion:Timp. Gyoban(woodn plate). Sleigh Bells. Vibraphone. Tam. B.D. Sus.Cym. Toms. Drums. Bongos. Congas.
演奏時間:13:00(約)

プログラムノート  例えばリヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」の如く、この作品に於いても「英雄」が語られている。但しそれはギリシャ古典劇などにみられるような「英雄」ではなく、ドナルド・キーンが「花道に立つと背がのびる」と言っていることから分かるように、極めて日本的な「英雄」なるものを目指している。「孤独ではあるが自己超克」(ツヴァイザムカイト)たらんと欲した似而非英雄が、次第に偉大なる英雄に成長し、大見得を切ったその時、果たして彼は真に英雄たる事ができたか否か?
 曲は打楽器によって開始され、ソロ・サクソフォーンがこれを受け継ぐ。このカデンツァによって全曲のモットーが提示され、低音楽器の強烈な音塊で始まる第一部に入る。この第一部は「アポロン的」また、それに続く第二部は「ディオニソス的」である。そして最後は、打楽器に支えられたソロ・サクソフォーンによって華々しく終わる。しかしながら、この最後のカデンツァは、一体、「Hymne」(讃歌)であるのか、それとも「Catastrophe」(破局)であるのかは、私にも分からない。
初演データ (初演日)1983年04月07日
(初演者)須川展也(A.Sax.)浜松北高校吹奏楽部 指揮:伊藤康英指揮
(初演場所)「浜松北高校吹奏楽部演奏会」浜松市民会館
委嘱者 須川展也氏、及び静岡県立浜松北高校吹奏楽部
備考 バンド・パートの2台ピアノ用編曲版あり。
CDタイトル:深層の祭 ~フェイバリット・パスト・アルバム・シリーズ
レーベル・CD番号:佼成出版社 / KOCD-2902
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吹奏楽のための《エヴォカシオン》

Title:Evocation, for Band

作曲年月日:1982年 07月
編成:Fl. Htb. Bn. BbCl. Sax. Cors. Trp. Trb. Bari. Tub. Cb. Perc.
演奏時間:5:30(約)

プログラムノート 私の吹奏楽歴(……とでもいっておこうか)は、中学に始まる。その、浜松市立中部中学校での私の恩師が、松下孝一先生である。先生は間もなく、静岡県立浜北西高校の講師となられ、吹奏楽部を創立された。そうした私が大学3年の時に、先生は、私に1曲の吹奏楽曲を委嘱された。そのときの、まあ、ちょっと内密にしておくべき(かもしれない)エピソードがあるのだが、まあ、せっかくの機会ですから書いてしまいましょう。

 その年、つまり1981年に、信国康博先生率いる埼玉の川口高等学校が全国大会で金賞を受賞した。その金賞は大いに波紋を投げ掛けた。というのは、自由曲に信国先生自身の御作である『無言の変革』よりの1曲を取り上げたからだ。ええと正確なタイトルを何といったか。『そこに山の姿はなかった』じゃないし(……これはシュワントナーの曲か)、ま、そんなような、ちょっとカッコイイ題名だったと記憶する。
 カッコイイのはタイトルだけではない。曲全体が、強烈な打楽器のリズムあり、ハープを使ったり、ホラ貝を使ったり、と、衝撃的なサウンドに満ちているのだ。今でこそ吹奏楽コンクールで多くの団体がハープを使っているが、なにしろ当時のことだ。そして、作品全体も、なんだか、狐につままれているうちに、ハ長調(だったかヘ長調だったか)の主和音を高らかに鳴らして終わってしまう。
 これを聞いた松下先生、甚く感激された。そうして、「あんなふうに打楽器ドコドコやっていて金賞取れちゃうんだったら、君、ちょっとあんな曲を作ってみなさい。」
と、そんなことになってしまったのだ。そんな、打楽器ドコドコ、といわれたって困る。で、私なりに考えた「打楽器ドコドコ」なる曲が、この『エヴォカシオン』である。
 1982年7月に完成。5分半程度の作品。松下先生の指揮する静岡県立浜北西高校吹奏楽部の演奏で、同年の吹奏楽コンクールにて初演された。
 今から考えると、当時の高校生たちがよく演奏できたなあ、と思うほどの難曲。テクニックやアンサンブルなどは難しくないのだが、なにしろ金管楽器のハイトーンだらけである。ホルンの高いFや、トランペットの高いC(いずれも実音)が何度も何度も登場するのである。
初演データ (初演日)1982年
(初演者)浜北西高校吹奏楽部 指揮:松下孝一
備考 松下孝一氏及び静岡県立浜北西高校吹奏楽部の委嘱により作曲
吹奏楽のための《プログレス》

Title:Progres, for Band

作曲年月日:1979年 10月
編成:Picc. 2Fl. Ob. Bn. EbCl. 3soloBbCl. 3BbCl. AltoCl. BassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. 2Bartone. 2Tub. St.Bass.
演奏時間:6:00(約)

プログラムノート 自分はどのような音楽を書くべきか、という問に対する一つの答えとして、存在する様々な音の中から、差し当たり自分の欲するであろうと思われる音を並べてみたのがこの曲です。曲は単一の動機からなりその動機が種々のプロセスを経てプログレス(進行)していきます。
初演データ (初演日)1979年10月
(初演場所)1980年笹川賞入賞演奏会
備考 昭和54年度笹川賞第3位入賞作品
オン・ザ・マーチ

Title:On the March

作曲年月日:1978年 8月 12日
編成:2Fl. Picc. Ob. Bn. EbCl. .3BbCl. AltoCl. BassCl. 2ASax. TSax. BarSax. 4Hrn. 3Trp. 3Trb. Euph. Tub. St.Bass. Timp. Timp. S.D. Tom. B.D. Cymbals. Whip. Tam.
演奏時間:3:00(約)

出版社:TRN Music Publisher
楽譜備考: 
 
プログラムノート  この曲には様々ないきさつがある。
 高校3年の夏、吹奏楽コンクールの課題曲公募のために作曲。とにかく完成させることの出来た最初の曲である。速めのコンサートマーチで、よし、それならば、絶対に歩けないようにフェルマータもいれてやろう、とか、思いもよらぬ転調をたくさんいれてやろう、とか、随分と凝った曲になった。スケッチもマジメにたくさん書き、コンデンス・スコアも作り、おまけにスコアは丁寧にペン書きした(ペンで書いたのは後にも先にもこのときだけ)。そして、これまたご丁寧に、締め切り日の1978年8月15日に吹奏楽連盟まで(当時は有楽町の朝日新聞の中にあった)持参していった。審査は最終まで残って、佼正ウィンドオーケストラで試奏までしてくれたのだが……見事落選!。そこで今度はオーケストレーションを変えてJBA(日本吹奏楽指導者協会)の作品募集に出した。これも最後まで残り、わざわざ高松まで審査を聞きにいったのだが、ここでも落選!。
 しかし、この曲をしっかり覚えていてくれる人もいるものだ。1991年になって、浜松工業高校の小田木保二氏が演奏したいというのだ。ちなみに彼と私とは同じ浜松北高校の卒業、そして筑波大学吹奏楽団で団長を務めていたこともある。それならば、もう一度オーケストレーションに手を入れようと考え、現在の最終稿が出来上がった。そして小田木氏指揮、浜松市高校選抜吹奏楽団の演奏により改訂版が初演された。これを、私のj抒情的「祭」を出版しているアメリカのTRN社に送っておいたところ、出版OKとの知らせ。ようやくこの曲は日の目を見ることとなりました。今私は、全く違うスタイルで作曲してはいるものの、やはり私らしい曲だと思う。とても気に入っている作品の一つである。
 ……と、この文章を読んでいる間にも終わってしまう、そんな小品です。(1993年11月プログラム/伊藤康英)
初演データ (初演日)1991年3月31日
(初演者)浜松市高校選抜バンド 指揮:小田木保二
(初演場所)「全日本吹奏楽高校選抜大会」 浜松市民会館
備考 ピアノ連弾版あり